普段、時間がない社会人がどのようにして時間を作り、どのようにしてその貴重な時間を効率的に柔術に割り当てるかがキーとなるだろう。
そこで今回より、月1回くらいのコラムで、そのあたりを書いていきたいと思う。
インプットとアウトプット学習に分ける
練習にも様々なパターンに分けることができる。
その一つとして、インプット学習とアウトプット学習がある。ざっくりいうと、インプット学習とは、先生から与えられた情報を頭で記憶することを指す。一方、アウトプットとは覚えたことを実際にやってみて、より深く覚えることである。同じ技術を覚えるにしても、両者は異なる。
初期段階はインプット学習メイン
技を覚えないとアウトプットもできない。そこで、特に未経験者はまずは技を習い、知識を高めていくインプット学習をお勧めする。技の原理も大切だが、手順通り覚え、打ち込みを行い、そのコツをつかんでいく。時間が経つと忘れていくが、「そういえば、あのときこういう技習ったなぁ」という程度で構わない。なぜなら、それぞれの技をしっかり覚えようとすると、頭の情報処理能力が追い付かず、パンクする。なので、「できないけど、技の名前とイメージが一致する」程度でもいい。目次を作っていくイメージだと思う。インプット学習の積み重ねは、目次を作ることと似ていて、のちに柔術の基本技術を体系的に覚えていくことにつながり、どんどん整理化、効率化していく。
半アウトプット学習
では覚えた技を実際にやってみる。主にスパーリングであろう。はじめは、焦りや戸惑いで思った通り技が出せないかもしれない。そして経験者にやられてしまうことも多々ある。しかし、このできないという感覚は重要で、アウトプット学習の重要さや自分の置かれているレベルを知るいい機会である。
インプットからいきなりアウトプットは、非常に距離があるため、半アウトプット学習を行う。この段階の前に何回か同レベルとスパーをしていくといいだろう。そこで得た課題を絞り、打ち込みやライトスパーを繰り返す。
①軽くスパーをする
②重要技術の抽出
③重要技術のみの打ち込みやライトスパー
④ ①からまた繰り返す
なお、③のような練習は、ブロック練習といい、習熟過程初期の方は、このブロック練習をするとよいと一般的に言われている。
あとは、アウトプットと半アウトプットを繰り返す
半アウトプットで技を覚えたら、スパーリングで試す。そして、それでだめだったら、課題を抽出し、半アウトプット学習を行い、また、スパーリングで試す。このスパーリングこそがアウトプット学習に相当する。
このサイクルを繰り返すが一番上達する近道である。
ただ、インプット学習はもうしなくていいか?と言われれば、それは違うと思う。
習ったことを何回もレッスンを受けることで、見落としはないか?他の技への応用はできないか?などこれまでと違った視点でレッスンを受けることができ、技術の補強に大きく寄与する。
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